ここでは中国株投資をする上で注意しなくてはならない点について説明します。
中国株投信の落とし穴
まず、第一の落とし穴としてはファンドマネージャーの能力の低さにあります。いくつかの投信のパフォーマンスをみればそれはよくわかることです。プロだからといって安心できるとはかぎらないのです。
それに本当に実力のある人は、ヘッジファンドなどの実力主義が徹底しているところに移籍して億単位の報酬をもらっているはずです。
以前、ある証券会社でファンドを運営していたかたのお話を聞く機会があったのですが、とてもプロだとは思えない考え方をしていました。これじゃ、儲からないと感じた瞬間でした(笑)
第二に各手数料の高さにあります。買い付け手数料、信託手数料などで4〜5%とられるので最初からそれだけマイナスがあり、それを上回る成績を上げなければならない。
第三にファンドは資金規模が大きいので時価総額の小さい市場、マーケットでは身動きが取りにくいのです。なので自然と資金は時価総額の大きいところへ投資されます。
時価総額が大きい企業は成長した後なのでこれから、5倍、10倍に成長するとは考えられません。(マイクロソフトやインテルがこれから10倍の企業に成長するのは考えにくいですよね)
そして、もっとも衝撃的な問題点としてファンドの収益源(私たちのコスト)は主に販売手数料と信託報酬からなっています。
私がファンドを嫌う理由は信託報酬はファンドが成功していても失敗していても取られるからです。
そして、実はファンドは優良顧客(だいたい資産1億円以上)と、証券会社、運用会社のためにあるのです。
そのしくみを考えるには以下のことを頭に入れておいてください。
1、規模の大きいファンドがマーケットに与える影響は大きい(特に時価総額の小さい市場では)
2、ファンドは設定日にいっせいに銘柄を買う
3、ファンドの「買い」が入った銘柄の価格は上昇する
この3つのことからファンドの手口を考えてみましょう。
1、ファンドの設定が決まる(設定日、購入銘柄など)
2、ファンドの設定条件をもとに証券会社の自己売買部門が「買い」を入れる
3、その後、優良顧客から手数料を稼ぐために、ファンドが買う銘柄を薦める
4、ファンドの買いとともに自己売買部門、優良顧客は売る(この人たちは利益を得る)
5、ファンド価格は下がる(ファンドを買った人は損をする)
この行動を取ることにより証券会社は、自己売買部門のキャピタルゲイン、優良顧客からの売買手数料、ファンドの販売手数料と1度に3つのおいしい汁を吸うことができるのです。一方、ファンドを買った人は損をします。これがファンドの手口の一部なのです。
(これは証券会社の関係筋からの話であり、全ての証券会社が同じことをしているわけではありません。
また、世の中にはすばらしいパフォーマンスで人々を豊かにしているファンドもあることを付け加えておきます)
企業選択は慎重に
以下の一覧を見ていただければわかると思いますが、中国株なら何でも儲かると
いうわけではありません。しっかりと銘柄を選んで投資しなくてはいけません。
B株03年ベストパフォーマンス |
B株03年ワーストパフォーマンス |
銘柄 |
騰落率(%) |
銘柄 |
騰落率(%) |
長安自動車 |
196.81 |
永生データ |
-55.92 |
赤湾港航 |
131.96 |
英雄集団 |
-50.52 |
国際コンテナ |
122.46 |
聨華合繊 |
-48.11 |
南山電力 |
99.59 |
大江グループ |
-45.57 |
江鈴自動車 |
88.92 |
海南大東海 |
-42.73 |
特にP株とよばれる企業の中には一日で90%も株価が下落した企業もありますし、長期間取引停止になる企業もあるので注意しなくてはいけません。(私はワーサンガスで痛い目にあいました)
不良債権問題
4大銀行の不良債権や政府の財政赤字の多さが問題視されていますが、中国政府は日本政府と違って「お金持ち」であることを忘れてはいけません。
中国では土地、資源も多くの企業も国のものなので、そういった資産を切り売りすれば、こういった問題は解決できると考えられます。
しかし、今後4大国有銀行の上場に絡んで問題が大きくなる可能性があるので注意が必要です。
中国株はバブルか?
最近マスコミなどでは中国の一部業界でバブルが発生していると報道しています。
しかし、それ=株式のバブルと言えるのでしょうか。
以下の世界の株式市場の株価指標をご覧下さい。
市場 |
予想PER |
配当利回り |
市場 |
予想PER |
配当利回り |
ニューヨークダウ |
20.69 |
2.02% |
ハンセン指数 |
20.51 |
3.21% |
ナスダック |
91.01 |
0.39% |
H株指数 |
21.13 |
2.08% |
日経平均 |
111.01 |
0.81% |
レッドチップ |
19.37 |
1.96% |
加権指数(台湾) |
44.76 |
1.6% |
上海B株 |
49.32 |
1.24% |
ムンバイ(インド) |
16.62 |
1.6% |
深センB株 |
40.15 |
1.12% |
2004年3月1日の株価、2002年実績業績をもとに作成(ユナイテッドワールド証券資料)
この表を見ると中国本土株は少しPERが高めとも言えますが、バブルとまでは言えないと思います。
香港株にいたってはまだ、割安とさえ言える状態なのです。また、配当利回りを考えてみても香港株は魅力的な状態です。
H株の予想PER
|
PER(倍) |
収益成長率(%) |
2002年 |
2003年予想 |
2004年予想 |
2003年予想 |
2004年予想 |
ハンセン指数 |
18.80 |
17.30 |
16.30 |
8.50 |
6.10 |
H株指数 |
14.80 |
11.50 |
11.50 |
28.70 |
-0.60 |
|